[コメント] キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023/米)
フクロウとハエ、静かな惨殺の物語
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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先住民族には死の使いであるフクロウが迫り、ディカプリオにはハエがたかる。
石油利権の話だが採掘シーンはほとんどなく、描かれるのは白人とネイティブ・アメリカンで構成される異形な混血ファミリーの人間模様のみ。それが3時間半だ。
標的を扇動して教唆する。そこには終始死相が漂う。やはりスコセッシだ。 映画は極めて静かに淡々と、重厚にまた冗長に進んでいく。 デニーロの存在感もしかり。これまでのスコセッシ映画でみせた強欲さ執拗さ凄味がない。普通の怖いオッサンだ。それもまたリアル。またディカプリオのダメっぷり加減もかなりの職人芸。口がへの字になったらヤバい信号だ。この辺りのスコセッシの引き出し方は流石。
圧巻なのはモリー役のリリー・グラッドストーン。彼女の目が全編に渡ってこちらに突き刺さりドキドキする。懐の深い愛と家族を失う悲しみがダイレクトに伝わる。ただ最後は愛よりも馬鹿さ加減に愛想を尽かす。
たかだか100年前のネイティブ・アメリカン虐殺の闇を80歳の巨匠がフィルムで独白する。ラストの再現ショーは最高のエピローグ。健在なり。
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