信長（加瀬亮）より秀吉（ビートたけし）が明らかにジジイなのはどうなんだ、と観る前に思っていたがそういう問題じゃなかった。『アウトレイジ』だった。いや『首』は構想何十年らしいので、アウトレイジが現代版「首」なのか。

数えたわけじゃないが北野映画に頻出するのがホモソーシャルの中に男色があって、それをたけしがニヤニヤ眺めてるというイメージだ。『その男、凶暴につき』からしてそうだった。たけし軍団という日本有数のホモソー軍団の頂点にいたたけしは、芸人としては男集団のバカバカしさを高い解像度で描き続けた。当然その中には男色も含まれている。

「風雲！たけし城」のたけし城守備軍には当然のようにストロング金剛がいたし、「お笑いウルトラクイズ」の人間性クイズにおけるポール牧の名演は忘れがたい。戦メリ以来たけしの「ホモソー軍団のMC」という特性を見抜いていた大島渚は『御法度』を作った。

というわけで「首」はいかにもたけしらしい、多分たけししか作らない変な映画だった。ただビートたけしは、やっぱり秀吉役じゃない方がよかったなあ。なんで江戸っ子が秀吉役やねん、加瀬亮が尾張弁で頑張ってるのにてめえいつもの足立区のたけしじゃねーかバウバウたけちゃんバウとは思いました。中村獅童、意外とデケーなとも思いました。あとオレが人間としても芸人としても嫌いだが役者としては最高に評価している木村祐一、やっぱりよかったですね。よかったでしょ。