[コメント] 交換ウソ日記(2023/日)
もっとも、全体、シーンやショットにはムラがあると思う。例えば、高校内、特に教室内の画面は白っぽく、粒子が荒い。16ミリフィルム撮影かと思いながら見る。比べると、黒田希美−桜田ひよりの部屋の場面の色遣いなんかは綺麗。富士急ハイランドのシーンもいい。缶入り汁粉の場面の後の、メリーゴーランドのショットの光も綺麗だ。と思えば、球技大会の場面の描写はユル過ぎる。特に女子のバスケの試合の迫力の無さ。
では、周到なプロット展開の例をあげておこう。まず、放送室の前にあるリクエストボックスの扱い・使い方を疑問に思わせて、後から、放送部の友人が協力者になって使わせてくれるのだ、という後フォローがあるのが周到。こういうプロットの順番って大事だと思う。同じように、富士急ハイランドでの松本江里乃−茅島みずきの態度に瀬戸山潤−高橋文哉が訝らないのはどうしてだろうという部分の払拭や、球技大会の掲示板に貼ってあった通知文といった伏線、さらに、ほっぺたを片手で挟む所作、髪(頭)に掌を置く所作の反復、高橋が英語の勉強を見てもらうため桜田を自宅に呼んだシーン、特に妹とのやりとり、その帰り道でのバスケの練習などなど、これらの中盤のプロットが実に活きる終盤の展開なのだ。私とて、感動に浸りながら見終えた。尚、桜田が放送部員で、昼休みに放送する楽曲を決める特権を持っている、あるいは、放送室という異空間がある、という部分についても、プロット展開に良い効果をもたらしている。
俳優についてもう少し書いておくと、ヒロイン−桜田の対抗として生徒会長の茅島がおり、劇中、皆から美人美人と云われるのだが、私も確かに美人だと首肯するけれど、どちらかと云えばファッションモデル的な美人だと思う。また、いつも正しい、という性格付けをされていて、これも似合っていると思いながら、『サバカン』で見せたちょっと不良っぽいカッコいいお姉さん(高校生)役のようなカリスマ性のある役柄の方が合っているように私は思う。それと、桜田と茅島の次に目立つ女子生徒、林優子−齊藤なぎさが、最初、もっとモブキャラに近い役割かと思っていたのに、終盤になって重要さが増してくる扱いなのも良い点だろう。これに比べると、桜田の先輩−板垣瑞生については、もう少しかき混ぜ役になるかと期待したのに、中途半端な描き方に思う。あと、エンドロール中のアルコ&ピース・平子祐希の名前が目に留まる。最近、こういうのちょくちょくある。
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