[コメント] ベイビーティース(2019/豪)
冒頭、抜けた奥歯が水の入ったコップに入れられる。これはフラッシュ・フォワード。続いて、駅のホームのミラ、エリザ・スカンレンの後ろ姿。カメラが寄ったのは、何だろうと思ったが、モーゼス、トビー・ウォレスの見た目だったのだ。
彼は、ミラの髪に光の輪が見えた、と言う。髪の毛へのこだわり。また、光へのこだわり。そして、ミラは鼻血を出す。ホームで横になり、モーゼスのシャツで拭く。出血のモチーフ。このように、冒頭シーケンスで、以降登場するモチーフをかなり意識させる。
光で一番驚いたシーンは、夜、家を抜け出したミラが、モーゼスに連れられて参加するパーティのシーンだ。このシーンの光の演出、室内に設置されたプロジェクターから出た光の当て方、捉え方は凄い。他で見たことない。こゝは特筆すべきだ。これが無かったら、本作は腑抜け状態になる、というべき演出だろう。
基本、時間を錯綜させない、時系列の繋ぎだし、フラッシュバックも記憶にないのだが、エピローグの浜辺のシーンだけ時間が遡る。こゝも優しくて良いシーンだが、別に時系列に、誕生日パーティの前あたりに挿入されていても、良かったのに、と思う。いずれにしても、これ見よがしな、泣かせの演出をしないのには好感が持てる。とにかく、主役の二人、エリザ・スカンレンとトビー・ウォレスの造型が新鮮で、新人賞も納得だ。
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