[コメント] BAD CITY(2022/日)
冒頭のレインコートを着た男も、顔がよく見えなかったが彼なのだろう。魚をさばいている後ろ姿で登場するシーンが何と云っても瞠目するが、ショッピングモールの上階の通路で小沢仁志たちと闘うシーンは、吃驚するというよりは、とても面白かった。特に、三元雅芸と闘いながらも、ちょこちょこと坂ノ上茜を殴ったり蹴ったりするのが面白い。そして勿論、山口祥行−金数義と小沢との死闘の迫力も非常に満足感の高いものだ。小沢と山口のアクションが、ときおり、フルショットで真横から捉えたカットとして挿入されるのがいい。これらの闘いが、銃弾で終わりを告げるのは勿体ないと思った。なんとか生身のアクションでケリをつけて欲しかったと感じたが、それぐらい魅了されたということだ。
ただし、その他大勢のモブが暴れ回ってその対応をしなければならない場面は、乱雑なアクションになるし、どうしてもムヤミな発砲も増えるので、嘘っぽくなる。また、プロローグ(ヤクザの銭湯貸し切りシーン)はとてもいいが、その後の人物設定や状況説明のための演出は、矢張り緊張感が弛緩してしまう。こういう部分でも、映画が走り続けるような工夫が欲しい。特に壇蜜の口調は説明セリフになると余計にまだるっこしく思える。あるいは、坂ノ上と大学の同級生で記者の松永有紗が会食するシーンなど、アップショットが多くてゲンナリしたのだが、アップとバストショットの画角の選択が行き当たりばったりのように感じられるのだ(いや、坂ノ上はとても可愛く演出されているが、基本的に私はアップがあまり好きじゃないのです)。
とは云え、憎たらしい黒幕のリリー・フランキーや大姐御といった貫禄の、かたせ梨乃もよく演出されている。かたせが、自家製キムチやキンパを売っている女性−圭叶と絡む場面にも、私はかなりグッときた。圭叶という女優はワンシーンのみの出番だが、鮮烈なイメージを残す。
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