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[コメント] ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ(2024/日)

暴力的な核マル支配下から学生自治を取り戻すために一般学生による「新自治会」が組織されるも、核マルとの主導権争いのなか新自治会の内部にも路線対立が生じる。その論点は核マルの暴力からの防衛、すなわち対暴力として「自衛力」という力を認めるかという問題。
ぽんしゅう

紛争解決の手段として暴力(戦力)を是認する組織(国家)に対して、はたして“非暴力”という理想を貫くのか。いや、貫けるのか。それとも、たとえそれが、必要最小限という危うい線引きによるものだとしても、自衛のための“手段”は必要なのか。その手段はどこまでなら戦力(暴力)に値しないのか。これはまさに、戦後日本の「自衛権」を巡る国防議論そのもの。暴力という手段のなんと罪深いこと。

映画の構成として、もっと観てみたいと思った点が二つありました。映画内の再現ドラマを演じる若い役者たちが、池上彰氏から当時の学生運動の状況を学ぶシーンが、再現ドラマのメイキング映像として挿入されます。このときの役者(特に女性)が抱く疑問が率直で興味深い。このパートがもっと膨らんでいたなら、映画に新たな現在的視点(切り口)が加わる可能性あったのではと思いました。

もう一点は、もう一方の当事者である(当時でも現在でもかまわないのですが)核マル派の活動家からのコメントはぜひ聞いてみたかった。原案本の「彼は早稲田で死んだ」では、当時の核マル側の人物にも取材しているそうです。やはり映画出演となると難しかったのでしょうか。

(評価:★3)

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