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[コメント] システム・クラッシャー(2019/独)

人間の成長曲線は曲がりくねっており、他者が誘導できるものではない。
ペンクロフ

トラウマのため顔を触られるとキレ散らかすベニーちゃんが、通学付添え人(そんな役職あるんか)ミヒャの幼い息子には優しくて、顔を触られても怒らない。あっ、彼女も成長してるんだなと思ったら、ミヒャ妻に息子を取りあげられそうになるとブチギレて罵倒&脱走。あー、立派な映画だと思った場面だ。心の中の小さな成長が、必ずしも彼女が「いい子」「従順な子」になることを意味しない。関係ない。そんな急に「いい子」になるかよ、なめんなよという話である。

娘を恐れるネグレクト母ちゃんには同情の余地はなさそうだが、山ごもりでベニーちゃんと絆を結ぶ男ミヒャも、面倒見のよいソーシャルワーカーのおばちゃんも、ちょっと振り回されすぎかなとは思う。この大人は信用できそうとオレが思ったのは酪農家のオヤジだ。あれくらいの適当な感じで山で暮らせばいいんじゃないか。『アルプスの少女ハイジ』観すぎですかね。

何かしらの問題を抱えた子供は、大人からは宇宙人みたいに見えるものだ。アプローチのやりかた次第で『ハイジ』にもなれば、『エクソシスト』『積木くずし』にもなる。観客であるオレは他者の「思う壺」に決してならないベニーちゃんを好きだが、他人事だからそう言えるのであって、共に生きるのは大変なことだろうな。

(評価:★4)

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