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[コメント] カウントダウンZERO(2010/米)

核ミサイル・核戦争・核拡散についての今日的基礎知識を得るのに最適な映画。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

2010年製作・公開(日本では10月に東京国際映画祭、翌2011年9/1に一般公開)は、2001年の米国同時多発テロ(アルカイダによるとされる)から9年、2003年のイラク戦争から'06年のサダム=フセイン処刑後、2011年のリビア=カダフィ政権崩壊の前、オバマ大統領の1期目である。当時の世界の核兵器数は本編中で約2万3千とされていたが、核兵器総数・核弾頭数・配備数・保有核など、各統計にはかなりの幅がある。何れにしても1986年をピークとして核軍縮がなされた事は間違いない。2015年には世界総数は1万未満〜1万5千発程度との推計がある。

1986年という年には米ソ首脳会談がレイキャビク(アイスランド)で行われたが、その前にあのチェルノブイリ原発事故が起きていた。莫大な放射性物質が世界中に放出された事態を前に、米ソも大きく舵を切ったのである。冷戦終結を米ソで宣言したマルタ会談は1989年、START-I(戦略兵器削減条約)はその後の1991年であった。その後1990年代中頃迄は核軍縮は大きく進んだが、徐々に減少幅が鈍ってゆき、2010年代からは横這い、そしてとうとう2018年にトランプ大統領が核再開発を言い出す事態となっている。

未だに先が見えない状況ではあるが、核ミサイル・核戦争・核拡散についての今日的基礎知識を得るのに、今尚最適な映画と言えるだろう。ブレアゴルバチョフマクナマラと言った重鎮達の言葉は重い。

しかし、つくづく思うのは福島原発事故を経た日本政府と日本人の有様だ。2017年以降、日本政府は核兵器禁止条約を無視し続けている。[2019年春現在]

(評価:★4)

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