[コメント] 日本侠客伝 関東篇(1965/日)
正直言って魚河岸の小揚げ人足(とでも言うのか?)を”侠客”と括るのは無理があると思うが・・・
洋装の鶴田浩二がなんとも粋きでかっこ良かったが、何の為に洋装で登場したのかよくわからない。ピストル撃つから? 一種の着せ替え人形的扱いがなんとなく鶴田の存在を軽くしている。若々しくて凛々しかったけど、煙草の煙を吹きかけたりしてどちらかというと気負った感じかな。
任侠映画の初期の頃でまだ路線が定着していないせいか、ヤクザを描くのに衒いがあるみたいで、健さんなんか都合4回もヤクザを「ヤクザくん」と呼んでいた。後の健さんを知る我々から見ると少し可笑しくて、3回目までは場内に笑いが起こったが、4回ともなるとなんか怖い感じがした。
「寝坊して船に乗り遅れた機関士が、知遇を得て築地の魚問屋で働くようになる」という設定自体にリアリティはない。設定としてのリアリティはないんだけど、なにかそういうものを超えて、いつも自然体で堂々とした”健さん”というキャラクターとしての存在感は大きかった。学生運動ノリのアジテーションは鬱陶しかったし、集団乱闘に至っては雑然として阿呆臭い限りだが、この存在感が後の任侠映画を支えるのだから、人の世ってのはわからんもんですなー。
これもどうでもいいことなんだが、長門裕之を撃ち殺したのは、鶴田浩二のように見えたんだが・・・。なんでなんで?
65/100(03/05/10記)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。