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[コメント] 昭和残侠伝 死んで貰います(1970/日)

任侠映画のジレンマ。
たかやまひろふみ

改めて言うまでもなく任侠映画において愛情や友情は最終的な爆発(要するに殴り込み)によって吹き飛んでしまう、つまりは「あらかじめうしなわれるもの」と分かっているが故になおのこと鑑賞者の心を擽るわけですが、この映画は特に健さんと藤純子、あるいは池部良、長門裕之との掛け合いが絶妙で幸福感をもたらす一方で、最終的な爆発の導火線となるべき定番の「老舗vs新興勢力」という対立の図式はほとんど説明されない、そもそも作り手はもはや対立を描くことに興味がないように思え、いっそのこと殴り込みもなく「皆が幸せに暮らしましたとさ」という大団円でも宜しいのではないかと任侠映画の客にあるまじき考えに囚われます。

とは言えやっぱり健さんと池部良が並んで歩き出すと「よ、待ってました」と興奮してしまうのもまた事実であり、きみ結局どないやねん。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] sawa:38[*]

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