公開時、父が私を喜ばせようと「凄い映画があるんだ！」と映画館に連れて行ってくれました｡ 劇場で渡されたメガネを掛けて鑑賞するとあら不思議、サメに食いちぎられた手やビュッと撃たれた水中銃が私に向かって飛んでくるじゃあ〜りませんか！ 子供だった私は大層興奮し、映画もこれからはこうなって行くんだなと思ったものです｡

それから20年近く｡ 3D映画など、キャプテンEO以来耳にしていない2000年代、久しぶりに同作を飛び出してこないブラウン管で鑑賞しましたが、あの時の興奮や恐怖は3Dメガネと共にどこか彼方へと消え去っていました｡

3Dの為だけに撮ったとしか思えない作品(実際3Dありきで製作も始まったのではないだろうか)｡ 通常のブラウン管で見て「あーここが飛び出しているんだろうな」と思うと余計切なくなる｡ そういう意味では観賞用というより体験型フィルムといえるかも｡ 予算の大半は3Dとイルカの調教師に使ったんじゃないかと思えるくらい、ショボくなったサメに最早恐怖やインパクトを感じることは出来ない｡ いっそのことあのイルカが襲ってきたほうがよっぽど恐かった｡