[コメント] 名刀美女丸(1945/日)
ファーストカットは鍛冶場の情景。画面中央の庭が美しい光を帯びており、のっけから照明には興奮させられる。続くシーンでヒロインの山田五十鈴とその父親役の大矢市次郎が親娘で剣の練習をする。山田は父親の面を打つ。
こゝで山田の腕前を示し、終盤への伏線とするのだが、そんなことよりも山田五十鈴の可愛らしさが圧倒的なのだ。溝口だから仕方がないのだが、彼女への寄りのカットがないことに腹が立ってくるぐらいだ。あと美しい画面ということで云えば、刀鍛冶のシーンの鉄を打つ火花が美しい。かつスペクタキュラーで、この照明も特筆に値する。
また、主君の警護中に刀を折ってしまうという失態を演じた大矢市次郎が、城中で閉門を言い渡された直後、次のカットで折れた刀を製作した刀師である花柳章太郎と山田がもみ合うカットが繋がれる。この端折り方、時間の省略と唐突な画面の躍動には驚愕してしまう。溝口らしい大胆さだ。
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