[コメント] ワイルド・アット・ハート(1990/米)
世界はグロとグロのぶつかり合いから生まれる。そんなこと言われなくたってわかっているから僕は映画に美を求めるのに、さも自分が発見した真実であるかのように得意気にグロを誇示する映像作家も少なくない中で、リンチはそれらとは一線を画す存在のようでありながら、実は結構グロに目を奪われグロに重心を置いていることも多い。この作品のように「愛に背を向けず」美を描くのに躊躇しないことはむしろ珍しく、かえって「わかりやすい」との評判を呼んだ。彼が衒いをかなぐり捨てて愛を高らかに歌い上げたこの作品が、カンヌでグランプリまで獲ってしまったことが彼にとって良かったのか悪かったのかわからないけれど、少なくともそれは彼のせいではないし、僕の中でも一番好きな作品だ。まあ『ツイン・ピークス』が彼の最高傑作だというなら、分からないなりに「まあそうかな」と思えるが、他の作品がそうだとなると、これはもうデビッド・リンチという映画監督を取り違えているのだと言われてもしょうがない。それを承知で続けると、『ストレイト・ストーリー』はグロの部分がまったくなくなってしまって面白くない。グロを直視するのは体力が要るので、リンチも老いたかなと思ったものだ。こんなこと言われるからリンチも頭を悩ますのかもしれないが。・・・『マルホランド・ドライブ』はまだ観てないけどね。
ちなみに、ルーラとセイラーのカップルがほんとのバカだったら、yellow blick roadなんて言葉は出てこないよ。ゲロを吐いたのはつわりだからだし、それを処理しないでいたのも別にバカだからという訳ではないと思うけど。未成年(という設定じゃなかったっけ?)がSEX三昧の日々をおくることに罪はないよ。
85/100(02/07/14記)
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