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[コメント] ワイルド・アット・ハート(1990/米)

全てはラストに向けた飾りでしかない。「愛に背を向けないで。ハートがワイルドなら夢を目指して戦うのよ!」
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ルーラの母、サントス、ミスター・トナカイ、鳩の話をする変な声のおじさん、ロケット科学者、踊る太った女たち、吹っ飛んだ手を探す銀行員たち、その手をくわえて行く犬、「俺も去年同じ目に遭った」と言う事故った腕の不自由な男、異様に太い眉毛、ショットガンに吹き飛んでしまう首(しかもその首が風船の様にしぼまなかった?)、「Fuck me」、従兄弟のデル、Bad Witch、「このジャケットは魂の自由を信じるオレって人間のシンボルだ」、マッチと煙草のクローズアップ。

こうしてデビッド・リンチが常に描く「変態で異様な世界」。それに何故か引き込まれてしまうのは、誰もがそんな心の闇や謎の世界を持っているからなのだろう。わたしが惹かれるという事は、少なくともわたし自身にもきっとそんな闇の部分があるからだ。

しかし、全てはラストに向けた飾りに過ぎない。愛こそが希望である。愛こそ全てであるんだと。Good Witchが言う、「愛に背を向けないで。ハートがワイルドなら夢を目指して戦うのよ!」 こんな異様で奇妙な世界で必要なのは「愛」なのだ。人間誰しも持っている欲望や、衝動、闇に誘惑され、もう駄目だと窮地に立たされても決して諦めてはいけない。愛に背を向けてはならないんだ!

デビッド・リンチを好きでなければ「それをこんな風に描かなくても良いのに」と思うかもしれない。が、彼のファンとしては「こんな風に描くから良い」のだ。彼の作品について彼の良さをいつも表現しようと思うのだけれど、毎回上手くいかない。今回も書けば書くほど上手く言えていない気がする。

ちなみにあのGood Witch、改めて観たらあの「世界で最も美しい死体」のシェリル・リーであった事に今更ながら気付きちょっと驚き。 事故に遭った女性役も『ツイン・ピークス』の中国人女性役シェリリン・フェン。ロケット科学者は『イレイザー・ヘッド』の主人公を演じたジャック・ナンス=知る人ぞ知る”丸太おばさん”ことキャサリン・コールマンの夫。ジョニー役は『ストレイト・ストーリー』の兄役のハリー・ディーン・スタントン。・・こうして見ると、「リンチ・ファミリー」の面々がかなり揃っていた。

(評価:★4)

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