[コメント] ワイルド・アット・ハート(1990/米)
ロックンロールとは「この世界に俺とお前の二人だけ」と言い切ってみせることである。そう、いかれてる。ところが現実も社会ももっと激しくいかれていて、ロックンロールなんてあっという間に踏み潰される。
ロックンロールとは、彼女の前で粋がってみせることから始まる。
ロックンロールとは、粋がる彼を信じてみることから始まる。
アドレナリンが踊るままに。
問題は、いかれてみせる自分たちよりも世間はもっといかれているということだ。
8ビートを刻み始めた瞬間から、黒い魔女が付きまとう。向こう見ずなそのリズムがいかにちっぽけな代物であるかを思い知らせるために。
魔女からの逃避行の中、時に引いてしまうアドレナリン。押し寄せてくる現実。狂騒と死と肉体の限界が心を掻き毟り、全てが狂って見える。狂った世界の中で、自分がいかに凡庸かを思い知る。彼女の温もりさえ時に煩わしくなり、彼の情熱さえ褪せて見えてくる。
かくしてロックンロールは挫折する。
それでも、なお…
白い魔女を見ることが出来たなら、「それでも、この世界で俺はお前を愛す」と歌い上げる事が出来たなら、そいつをロックンローラーと呼んでやってくれ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (10 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。