正直、これを「判らない」と21世紀になっても音を上げる映画ファンは、ここから最初っから何も学ぼうとしていないのではないか。俺は「人類が次の段階の生物へと移行する物語」にしか見えないのだが間違ってますか？じつに簡単としか思えない。

もしそれでも「難解」と言い張る人がいるならば、その人はたぶんキューブリックに騙されているのだ。彼が「一回で観客に言いたいことが判るなら、この映画は失敗だった」などとハッタリをかますのがいけないのだろう。実際多くの和製映画やアニメに剽窃されている事実を思えば、そんなに難しいワケはないのである。今もそのハッタリが守られているとすれば、それは小難しい酔っ払いの妄想と片付けられようとしているSFにとって不幸なことであるに違いない。

俺が言いたいのは、これは美しい映画だということだ。CGによってその特性は目立たないものに貶めれられようとしているが、それでもアナログ時代の最高ランクの美しさだ。表層的で何がいけないのか。見世物から発展したこのジャンルの芸術に充分求められる美点ではないか。そういう意味で観客は最後の一滴までこの作品の美しさを搾り取るべきだ。そして、その努力にも関わらずこの映画の魅力は残り続けるだろう。『メトロポリス』を見れば、それがデタラメでないことは判るはずなのだ。