[コメント] 5時から7時までのクレオ(1961/仏=伊)
分刻みで主人公を追うアイデアは実験的で面白い。だが、良かったのはその手法のみで、内容はあまり入り込めなかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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当時(現在もかもしれない)、この手法はかなり実験的だっただろう。アイデアとしては非常に面白い。唯一のカラーシーンのタロット占いから映画が始まったときから期待が持てた。クレオの後方にはしっかり5時過ぎを指す時計が見られ、後のシーンでも時計の針はしっかりその時間を刻んでいたのを見て、その気遣いも気に入った。前半は面白い表現方法に感心したのだが、さすがにそれも長くは持たなかった。病院の検査の結果を待っているにしては、その緊迫感にかけていたと思う。何時何分から何分までの誰々と、対象の人間が変わるが、これはあくまでクレオ一人に統一して進めた方が効果的に思えた。その方が話の中心であるクレオに感情移入しやすい気がする。この手法の場合、時間の変化と同時に主人公の心情変化を体感しなければ、面白いと感じられない。結局、最後は何がなんだかさっぱりと感じて終わってしまった。
もうひとつ気になったのは、この映画は「5時から6時半までのクレオ」ではだめだったのか?90分ちょうどの上映時間で90分ぴったりを描くと予め知っていれば、もっと見やすかった気もする。見ている最中、このペースで7時までを描ききれるのかと思う部分もあった。
個人的には感銘を受けなかった映画だが、アニエス・バルダが61年の時点でこの実験的なアイデアを思いつき、映画化した、ある種の挑戦心は評価したい。
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