[コメント] 異人たちとの夏(1988/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ノスタルジックといわれるようなもの(たとえば昭和レトロ喫茶とか)が私は大好きだが、あくまでも「まだまだ現役であるところも込みで」好きだったりする*1。懐古したいのではなく、使わせてもらい続けたいとでもいうか。できる限り現在進行形でそれを愛したいというか。
だから、ノスタルジックな感情を(あくまで過去形としたうえで)かきたて煽っているかのような作品や場所には、どうもひいてしまうものがある。つまり、この映画の売りの一つであるらしい<独特の雰囲気>こそが、個人的にとても苦手だ。
また、会いたい人とのスタンスも、かなり違っていた。
もし私がもう一度だけでも亡くなったあの人に会えるなら。今までもそうであったように、甘えさせてなんてくれなくともよい。実にくだらない、いっさい示唆などに富まないことこそを嬉々として話してもらいたい。
そして過去の時間ではなく、今の時間で出会いたい。共通の思い出話などに浸るのではなく、その後のそれぞれの時間を報告しあいたい。してほしい。
私の前から消えた後にどんなことがあったのか、どんなところでどんなふうに生活しているのか、今度こそそこで素晴らしい日々を送れているのか。そんな話をしてもらいたい。若いときの姿ではなく、現在の年相応の姿で。
だから私はこの映画を、いまの段階では高く評価することができない。
*1:一部のひとにしか理解できないようなたとえで申し訳ないが、同じようなレトロ喫茶でも上野の「丘」や「古城」は大好き。けれども銀座のガチな昭和喫茶「純喫茶 日比谷」や新宿の旧オアシス「談話室 滝沢」がつぶれるやいなやその跡地に次々と店を構えるレトロ仕様の「椿屋珈琲店」チェーンは嫌い。みたいな。
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