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[コメント] 網走番外地(1965/日)

前半が圧倒的な面白さだ。(05・7・01)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 網走に列車が到着してくる。護送列車だ。人物像が観客に理解される。上手いと思った。田中邦衛は、前科13犯とイキがっているが、大した罪で送られてきた訳ではない。この虚勢の張り方は『若大将シリーズ』の「青大将」そのものだ。

 牢名主のような存在の 安部徹が良い。野外作業で田中邦衛が拾ったシケモクを横取りして言う。「ご馳走に預かりたければマブイ根っこを拾ってくる事だな」最後のギリギリまで吸う。あれは美味そうだった。

 嵐寛寿郎が「あと21年刑期が残っている」という老いぼれ役。「この冬が越せるかなぁ」と気弱に登場するが、集団脱走を素知らぬ顔で中止させたりと「元鞍馬天狗」の風格を見せる。

 この映画は回想シーンと刑務所の場面を「暴力的な編集」でつないでいる点が魅力だ。「回想シーン」に感情移入するかしないかのうちに「刑務所の場面」に引き戻されてしまう快感。全編モノクロというのも効果的だったと思う。

 南原宏治と手錠につながれた状態での後半の脱走シーンは意外だが少し冗長に感じた。丹波哲郎が善人すぎて(保護司という設定もあるのだろうが)ヤクザ映画には似つかわしくないと思う。

(評価:★4)

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