冒頭のメリーゴーランドのシーンと、鏡を挟んで二人が向かい合うシーンには鳥肌が立った。特に後者は、この映画全体を集約したようなワンシーンだ。このような演出をさりげなく挟み込む監督の手腕に脱帽。突飛な展開やご都合主義な部分は多々見られたが、中盤の緊張感は半端じゃなかった。

ただ、大きな不満を1点だけ挙げるとすると、最後に「フェイス」を元通りに直して、ジ・エンドはどうなのか？あの、顔を交換できる技術を持った医師は、あの映画のなかの世界でも唯一無二の存在ではなかったのか？その医師が途中で殺されてしまったから緊張感が煽られたわけで、それをあとで「最高の医師を集結させて」元通りにしてもなあ……。劇中で医師を殺した時点で、主人公に交換した顔を墓場まで持っていかせるくらいの思い切りが欲しかった。まあ、どちらの結末であっても、「顔の交換」を、トリックのネタとして使用するだけでなく、もう少し「顔」というものの存在について言及してもらえたら、より楽しめたと思う。