[コメント] リバー・ランズ・スルー・イット(1992/米)
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レッドフォードの映画作りは独特と言われるが、それは彼が惚れ抜いた原作のみを厳選して映画作りにはいることと、その思い入れの強さが、映画を素晴らしくもし、駄目にもするということ。レッドフォードの思い入れが視聴者にも共感されるならば、凄い作品が出来る。デビュー作である『普通の人々』はまさにそれがいちばんはまった作品だろうが、本作も又監督の代表作と言われるに値する素晴らしい作品である。
アクション畑の俳優であるにもかかわらず、あくまで人間の描写にこだわり、何気ない人間の行いを、自然の中で、たゆたう川の流れの中で静かに描写する。
実話を元にしているため、話は極端に大きな起伏があるほどではないのだが、一人の人間の人生の転機を丁寧に丁寧に描いているのが好感度が高く、しかも一見退屈に見える物語を、キャラクタと演出によって見事にカバーしてる。こういう物語の場合、観ている側が画面の中に自分が入っていると思わせるところにあるのだろうが、本当に彼らの人生を共用しているかのように思わせてくれる。
それを可能にさせた一つの大きな要因は、自然の素晴らしさだろう。
私は釣りに思い入れはないのだが、そんな私でさえフライフィッシングをやってみたい。と思えるほどに何気ない釣りの描写が素晴らしい。大自然に囲まれ、人間同士のトラブルが洗い流されていく。その中で紡がれる思想って素晴らしいものだ。
もう一つ重要なのがブラピの存在感。ブラピを起用したのはレッドフォード自身で、その理由は、自分の若い頃の自分の面影を持つから、だそうだ。この辺にもレッドフォードの本作にかける思い入れを感じることが出来よう。
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