[コメント] バートン・フィンク(1991/米)
喪失する身体性とリアリティが、共時を超えて、幻想性を獲得する。ラストはまさにそれ。
大量に埋め込まれた人物・小道具・事情の羅列的なさまざま断片。 例えば。
自らの小説を秘書に代筆させているフォークナーらしき作家、そしてタイプライター、レスリングは身体の喪失した文章を。
剥がれる壁紙は、古典演劇からの逃避を。
正体不明の隣人、主人公とは関知しない殺人鬼を追う刑事。
戦時下から遊離している主人公の様。
錯綜する現実と非現実、身体性を剥奪されて自己の境界が揺らいでいく主人公が滞在するホテルは、湿気と熱さに満たされた子宮的小宇宙を思わせる。
最後に産み落とされるは、非現実・幻想。
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