さらに厳密に言うならば、さらにさらに反発覚悟で言うならば、「映画愛」などという奇妙奇天烈なコトバは、僕の辞書には存在しない。よく言われる「映画愛」を、強いて翻訳するならば、「自己愛の投影」であろうか。

その作品との邂逅、その作品を見た時空におけるコンテキストの独占性、それが「思い入れ」であって「語り」。それを十二分に認識した上での卓越した感傷ならば、僕は諸手を上げて歓迎するだろう。

だが、その点、本作は実に潔くないのだ。

どうせ摩り替えるなら、もう少し巧妙にか、割り切ってね、トルトナーレ監督。

あんさん、ホンマは「競馬」が好きなんでっしゃろ？ほれ、ゆーてみ、楽なるで。