自分は、お涙頂戴をあざといとは思わない。コメディーに対して「人を笑わせようとしているあざとい映画だ。」という人はいないはずだ。泣かせようとしてきたらその手に乗ってしまい、大いに泣くのも映画を見る楽しみの一つだと思っている。

そういう目でみれば、この映画は泣きのツボ満載だ。ましてや、映画が大好きな子供が主人公だ。すばらしい映画に決まっている。というか、そう思っていた。

それが本物か偽物かは置くとして、「映画への愛」みたいなものが一つのテーマであることに異論は少ないと思う。オリジナルは、それで筋が通っていた。ところが、完全版ではトトの恋愛劇の比重が増えたことによって、話が分散してしまった。人間描写を付け加えることによって話に厚みが増したかといえば、かえって薄っぺらになってしまった印象が強い。

なんだって完全版なんて作ったんだ。オリジナルは好きだったのに。