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[コメント] 桜桃の味(1997/イラン)

方法と目的の共振性が薄いように思える
蒼井ゆう21

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画では、仕事を依頼された人々と主人公との対話において、例えば自殺を止めさせようとするような言葉自体によりも、対話行為そのものに主眼が置かれているように見える、あるいは見ているわたしたち(少なくともぼく)はその対話行為に何かしらの発見を見たのだけども、そういったことは、例えば主人公が記号的であったり、あのラストだったり、といったこの作品における映画的な要素を逸脱していくような部分とも通じるところがあるように思えた。それは言葉がコミュニケーションの手段であるけども言葉=コミュニケーションではないのと同じように、この作品では映画をあくまで手段として捉えているように見えるのだ。映画「を」伝えるのと、映画「で」伝える、この映画はどちらかというと後者のように思える。だから、伝えたいもののためには、様々な映画的なもの(といっても映画的なものが何であるのかをきちんとわかっているわけではないですが・・)から逸脱あるいは加工が必要となってくるのではないだろうか。

でも言葉や映画なくして伝えられない何かもまたあるのは事実であり、この作品にしてみれば、この監督さんの伝えたいものと、その方法として映画が選ばれる、その方法と目的の共振性といったものもまた少なからずあるともまた思うが。

あと、あの軍隊の青年の受け答えが結構印象に残った。たぶん自分だったら仕事手伝っていたと思うので、

(評価:★4)

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