[コメント] バルタザール どこへ行く(1964/仏=スウェーデン)
イエス誕生時に来訪した東方の三博士の一人、バルタザールの名を付けられた驢馬。彼が人間たちから足蹴にされ鞭打たれる光景はキリスト受難の暗喩として映じるが、億劫そうにその場を動かぬ鈍重さ(ゆえに打たれるのだが)は、苦痛に嘶く声にさえ感じられる。
人間的な感情という蠅に纏わりつかれ悩まされる驢馬。それは苦難の生というよりは、人間の許に存在することの違和感や空虚さの連続。彼が最初に人間に迎え入れられるシーンで向けられていた温かい眼差しさえ既に、浅はかで、本来はこの動物に無縁かつ無用のものにも思えてくる。
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