[コメント] 肉弾(1968/日)
ひとりの気弱なネズミ男が、「死に甲斐」を求めて彷徨するということ。ネズミは可愛い「ウサギ」を抱いて、やっとオレは死ねる、と確信する。…これは砂浜と海に展開されるチープ極まりない悲喜劇だ。本当のものは何でデタラメなのは何か、知っているのはお天道様だけだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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大谷直子のためなら死ねる。そう青年が確信したのは正しい。天皇陛下のおんために一つしかない命を散らすよりも、よっぽど共感できるリアリティある話だ。だからネズミは自分の作った神話に殉じ、そのためだけに死んでいった。自分が丸っきりの役立たずだった、その悔恨を両肩にしょって…。その話は何もない砂浜と海のなかで不思議とリアリティを抱え込んだ。この作品よりは金のかかった数ある反戦映画を凌駕して、ドクロの叫ぶ「馬鹿野郎」の銅鑼声は胸へと突き刺さる。
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