[コメント] 男はつらいよ 純情篇(1971/日)
寅さんっていいよねえ。もう日本人の誰もがこの性格とキャラクターを理解しているから、ぼーっと見ていてもちっとも疲れないし、不愉快な思いをしないでいられるんですね。見事なシリーズだと思います。
このシリーズ中山田洋次監督は神経衰弱になるほど脚本に力を入れて毎年2本の作品を制作していました。サラリーマンの鏡みたいな方ですね。こういう歴史が松竹映画を支えてきたんですね。
考えてみれば小津安二郎監督からはじまる松竹ホームドラマは大変歴史が古く、日本の映画創世記から作られていたんですね。最近の釣りバカなんかもこの系譜ですよね、たいしたもんですね。
30年以上も前の映画とはいえ、日本映画の歴史を司る大女優二人がさりげなく競演している事実には愕然とさせられますね。小百合さんの大根ぶりを垣間見るような面もありますけど、映画ってこうして残るからいいんですね。素晴らしい。
残念なのは当時私はあまり松竹映画が好きではなかったんですね。映画館に行ってわざわざ金払って見るような映画ではないと思ったんです。ホームドラマならテレビで十分ですもんね。たとえ寅さんでもきちっとした投資をして映画らしいシーンがあってもいいと思うんですが、画面が平坦で出てくるシーンも変わり映えしないでしょう。こういうのを映画というのかなあ、と当時思っていました。
年とって会社のバス旅行とか行くじゃないですか。そういう時必ずバスのビデオで寅さんやるでしょ。車内が一気に朗らかになるんですね。「ああ、やっぱり映画っていいなあ。みんなで笑える映画っていいなあ。」と今思うのであります。そう、映画って同じ画面をみんなで共有して分かち合えるんですね。あらためてそんなことを思いました。
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