[コメント] 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988/日)
車窓から自宅を見収める鈴木光枝が心に残るし、終末医療の議論は先駆的。しかしそこにトレンディドラマを並べて何がしたかったのかよく判らない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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最悪の予感漂うタイトル通りで、トレンディドラマなサザンなど狂ったのではないかと耳を疑う。愉快な寅講義(三國一朗の教授がいい味だしている。本物かと思った)のワット君は『寅次郎頑張れ』の中村雅俊。大竹しのぶとの恋物語を回想させ、比べれば本作の三田寛子の駆け足なサラダ記念日は淡泊に過ぎ、浮薄なバブル期の批評にさえ見える(短歌の字幕はサイレント期に見かける手法で、松竹蒲田の伝統を引き継いではいるのだが)。
三田佳子の寅への思慕も、元旦那似なら誰でもいいぐらいのもので淡泊。寅は逃げて正解に思える。鈴木の死んだ夫との交流は美しいが、詰まらないのはこの三者の恋愛の並置に何の連関も見つけられないこと。
女の幸せを求める三田佳子が退職の意志を示し、院長のすまけいは過疎医療の必要を説いて反対する。この対立は解決されず、最後まで三田は勤務している。この処理はいい。彼女は今後も悩みながら生き続けるのだろう。このシリーズ、序盤の問題提起がすっ飛んでしまう作品の多いなか、この締め方は良かった。ただ、三田佳子の恋愛観の方は、鈴木の高みには全然届いていない。
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