[コメント] 男はつらいよ ぼくの伯父さん(1989/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭、満男(吉岡秀隆)のモノローグでの始まりに感慨を覚える。これからは満男の物語が新しく始まるのだと。
最終的には、マドンナ=泉(後藤)ともいい感じになって終わるので、作品としての落ち着きは良かった。ただ、これでは男がつらくないじゃん、とも思う。
観てる側が共感を寄せる対象としては、満男のボンクラ青年のキャラクター設定がやや過ぎるかな。18、19で親に反抗期だとか、浪人生なのにバイク乗ってるとか(それはいっか)、偏差値60未満なのに大学目指してるとか(それもいっか)。
寅(渥美清)の、満男への助言者という新しい役割は、これまで何作かかけて準備してきたものが花開いた感があった。また、今回は脇に徹していたけれど、今後はそれだけじゃ終わらせないぞと思わせるものもあった。
檀ふみは、初出演(1976年の第18作・寅次郎純情詩集)のときは歴然とあった渥美との年齢差を感じさせず年月の経過を思わせたが、相変わらずお綺麗。佐賀弁も自然に聞こえるし、役者さんとしても達者な方ですね。寅が、基本的に人妻には恋慕しないので、あまり想いを懸けてもらえず可哀想なぐらいのキャラクターではあったが、別れるとき、寅から「幸せになってくださいね」と声を掛けられ、見送りながら生け垣の葉っぱをむしる、てな芝居は情が出てたと思う。
ついでながら、笹野高史のナイトシーン(実はオカマで満男に言い寄る)のくだりは、まったく下司なコントで、不要だったと思う。
満男が泉に「ノリでアイ・ラブ・ユー」とか言う場面がやけに唐突で安っぽかった。「アイラブユー」なんて台詞はなかなか言えないけど、「ノリで」を付ければ言えるということなのか。チューしようとして、泉の頭にヘルメットがぶつかり、突然恥ずかしさを覚えてその場を逃げ出す満男の図。分からなくはないが、反射的というか、図式的な気はした。この監督、この手のシーンはいつもこんな安普請みたいに撮っている。
75/100(19/8/10見)
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