[コメント] ゴッドファーザーPARTII(1974/米)
若き日のビトをブランドの風貌とは似つかぬ無名の若手俳優がどう演じるというのか、と、上から目線で見下していた観客をその第一声で黙らせ、絶望の淵からのし上がった者だけが持つ強さ、優しさをその眼力にたたえ唸らせたデ・ニーロの衝撃に尽きる。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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劇中を通じ、常に寡黙な中に孤独を浮かび上がらせるマイケル・パチーノが「あなたの子を産みたくなかった」との妻キートンの告白に、唯一その感情を爆発させるシーンや、そのキートンを前に無言でドアを閉めるシーン、あるいは兄カザールが聖母の名を唱えながら暗殺される湖上のシーンなど忘れがたい名シーンが多く、3時間20分という長尺(2時間を超えたところでやっとインターミッション!)も全く気にならない奇跡の傑作だが、これを映画史的にも稀な(というか、当時としては唯一と言われた)奇跡の続編たらしめたのは、若き日のビトをブランドの風貌とは似つかぬ無名の若手俳優がどう演じるというのか、と、上から目線で見下していた観客をその第一声で黙らせ、絶望の淵からのし上がった者だけが持つ強さ、優しさをその眼力にたたえ唸らせたデ・ニーロの衝撃であったと思う。彼の存在なくしては、マイケル・パチーノのあれほどの孤独感は導き得なかったであろうし、その意味ではコッポラがソニー役のオーディションで彼の演技力を認めつつも落とさざるを得なかった(しかし続編が決まったとき、若きビトを演じるのは彼しかいないと抜擢した)というエピソードも、映画の神様による偶然の中の必然であったのだと思えてならない。
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