[コメント] 痴人の愛(1934/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
店で知り合ったウェイトレスの女性と恋に落ちたばかりに人生を破滅しかける男の人生ドラマ。
医学生のフィリップが男性経歴豊富な女性ミルドレッドに出会って一度は捨てられるストーリー展開は少し唐突な気もするが、それから再びミルドレッドに詰め寄れられるフィリップの描き方はこの時代の映画にしては結構丁寧で、ミルドレッドの本性を表すタイミングも上手く、そこからフィリップが人生から転落しかける過程もわかりやすかった。
ただ、ミルドレッドがフィリップをどう翻弄したのかが、映像からはちょっとわかりづらい。ミルドレッドはフィリップと付き合ったときから結構そっけない感じで付き合う前からあまり興味はなさそうだったのになぜ中盤でいきなり彼に復縁を迫るのかがはっきりと説明されていない。またフィリップが中盤以降はミルドレッドにどういう感情を持っていたのかが分らないまま話が進むのでわかりやすいストーリー展開の割にはキャラの心情の描き方はちょっと杜撰。
役者としてはレスリー・ハワードは演技はいいのだが、キャラ設定上、若作りしてはいるが年相応に見えるのが辛い。逆にベティ・デイビスは本性をあらわにする悪女を真に迫る演技で熱演しており、彼女の人生が没落していくところはなかなかインパクトがあった。
総評としてはストーリー展開はわかりやすいがキャラの説明不足な部分が目立つのが難点。しかし役者は個性に沿った演技で、ストーリー面での不満を十分カバーしており、悪女に翻弄される青年の姿を描いた映画としてはそれなりに楽しめる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。