特に、酒屋のトラックの上から眺める老人のゲートボールのシーンが秀逸。彼はあのゲートボールの老人に未来の自分を見たのだろう。これをヤクザ映画としてみると現実離れしているように思えるが、現在・未来の自分についての自問自答は、ヤクザではない普通の人もするだろう。そして、そのような「自問自答する（元）ヤクザ」等をとてもさりげない「映像」で伝える（例えば、ゲートボールのシーンや、家を訪ねてきた舎弟が外から部屋を眺め、タバコを捨てるシーン。そして最後の別れのシーン。これは特に細かい説明はないが、２人の涙を含めて、とても自然に感じられた。これは凄いことだと思う）。この映画はとても「繊細」な作品だと思う。