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[コメント] 疑惑(1982/日)

全編タイトなスーツに身をかため、女教師あるいは女王様然とした口調に岩下志麻フェチは瞬間で秒殺される。ってふざけたコメントしてる場合じゃない。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







桃井かおりの邦画史上に残る超弩級の「芝居」は誰しもが認めるもので、これを否定するような者はいないでしょう。法廷で暴れ、退廷させられるシーンの顔を真っ赤に上気させての絶叫は、まさにプロの仕事。個人的には好きな俳優さんではないのですが、あれは凄かった。

「芝居を感じさせない程の自然な演技」という言い方があるが、彼女がフィルムに刻み込んだのは違う、「芝居とはこうあるべきだと、プロの役者たちに身をもって教えるような鬼気迫る演技」だった。

当時、演劇学を専攻していた私はもちろん、名だたる教授たちも「凄いね」の一言しか出てこなかった。

そして、この怪演にがっぷりよつに組んだのが、大女優岩下志麻。とかく二大俳優の夢の競演とかいうものは、すれ違いが多く、噛み合わない作品が多い中、この作品ではどちらも一歩も退かないというような闘いが見られた。実際の舞台裏は知らないのだが、どうみても意地と意地のぶつかり合いとしか見れない競演だった。

この作品がストーリー的にB級の作品だったと仮定しても、この演技の闘いがあったのなら、それはそれで邦画史に残る作品になり得る程だろう。

しかも原作は松本清張。1級品である。起承転結・伏線・人物設定・・・完璧過ぎる作品に仕上がった。

PS:ラストの桃井かおりの思わずにやっと笑みがこぼれそうな嫌な表情。ホームを出発する北陸本線の車中からの一発撮りである。一発であのなんとも言えぬ表情を出したとしたら・・・・やはり天才俳優である。恐らく監督は嬉々として喜ぶ前に、恐ろしさに背筋が凍ったのではないか?・・・

(評価:★5)

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