[コメント] 江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者(1976/日)
このアパートの住人は、部屋でエッチなことしかしないのか!
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」
乱歩が好んで揮毫した文句だが、夢ならいつかは覚めるときが来る。 覚めるからこそ、好きな夢を見ることができるのだ。
原作となった「屋根裏の散歩者」および「人間椅子」では、ともにその夢が小説らしく破られる。 「屋根裏の散歩者」の郷田は、彼と同じく猟奇を追うもの、明智小五郎に所業を暴かれ、「人間椅子」は作中作の虚構であったというオチがつく。 怪異譚は書いても、怪談はただの一編も書かなかった乱歩らしい落とし前のつけ方である。
ところが映画は、椅子の内部に本当に人間が入り込み、屋根裏の猟奇探訪者は断罪されることなく殺人を重ねる。 まさに「終わらない夢」。 それは乱歩が目指した世界ではなく、乱歩の信奉者が描いた理想郷でしかない。 現実の世界に引き戻されることなく夢を断ち切るためには、現実を超越した存在とも言える関東大震災がどうしても必要だったのだ。
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