暴走族の襲撃によりあっけなくやられたマックスは一転し、カーチェイスで執念深く死闘を 繰り広げる。彼は、石油をつくる共同体と希望を共有することもないし、暴走族のように欲望に溺れることもない。希望も欲望も持たない彼はなぜこれほどまでにボロボロになりながらも闘うのだろうか。暴走族への復讐のためか。共同体の希望を叶えるためか。それとも暴走族にあっけなくやられた己自身の無力さを克服するためなのか。それについてはよくわからないが、ボロボロになっていくのに比してより一層輝きを魅せる片目に彼の執念深さが凝縮されているかのようである。超人でもない彼が超人であるかのごとく極限にまで肉体を酷使する姿はかっこよくそして悲哀に満ちている。

彼は共同体と共にはしない。絶望の無限ロードに一人残る。そして彼の屹立した姿が地平線の彼方へと暗闇に飲み込まれながら幕を閉じる。ここで「あの地平線〜輝くのは〜♪」が流れてきたら号泣ものである。今再見してもかっこよく、そして胸を熱くさせる映画である。