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[コメント] ホット・ロック(1972/米)

コメディ成分の按配が最高に気持ちよく、よう頑張ったイエーツ! と抱きしめたくなるくらい面白い。ロバート・レッドフォード(胃炎の設定!)はルックス的にも絶頂期の格好よさだが、何より自然体のリアクション演技がビシバシ決まっている。出所直後に仕事の話を持ちかけられたときの顔とか。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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たとい強い画面や厳格な演出がなくとも、豊かな着想つまり演出家の頑張りさえあれば映画はここまで面白くなれるというよい例だ。レッドフォード&ジョージ・シーガルモーゼス・ガンがベンチで交渉するシーンに割り込む鳩ばあさん。兄レッドフォードと夫シーガルの犯罪を止めるどころかレッドフォードがシーガルと組もうとしないことに腹を立てるトポ・スウォープ。運転手ロン・リーブマンが母親と聴く車の走行音だけが刻まれたカーレースのレコード(トリュフォー私のように美しい娘』なんかもそうですけど、カーレースのレコードってどうしてこうも馬鹿馬鹿しく面白いんでしょうね)。ポール・サンド(意味もなくしばしば髪型が変わる!)とレッドフォードがなぜか釣りをしている爆弾実験のシーンでの、ショルダー・バッグからぽんぽん爆弾を取り出すサンド、レッドフォードのブォーーン!

と、実際に宝石強奪に取り掛かるまでにも少なくともこれだけの特筆すべきアイデアが詰め込まれているのだから、このペースで全篇についての記述を続けたらキリがないだろう。だからもう少しだけ。宝石を取り戻すために留置所(警察署)へと向かうヘリコプター以降の数シーンは思わず驚愕してしまうくらいにアイデアが詰まっている。とりわけ爆弾の使い方と「革命に違いない!」という警察のリアクション。はっきり云って、現代映画であろうと七〇年代映画であろうとここまで面白いシーンはそうあるものではない。

そしてラストの軽く小躍りしながら街を行くレッドフォード! すばらしいカットだ。私は涙した。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ナム太郎[*] おーい粗茶[*]

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