破棄された第３部、観たかった。若くして初代皇帝を僭称(?)し独裁体制を固めて行くイワン４世の描き方にはぞくぞくする。こんなに孤立し敵に囲まれた王の物語は見た事がない。何せ味方が信用出来ないし信用してもいない。一見社会主義的で勇猛な音楽で彩られているが、主人公に感情移入していいのか不安になるこの展開は嘗てない緊張感を与えた。監督がこの孤独な皇帝に如何なる結論を与えるのか、是非第３部のラストは観たかった。

イワンと公爵の確執、史実はどうであれ、あれでは終わらんだろう。公爵の最後が観たかった。

しかし貴族を否定し宗教を否定する社会主義国家ソビエト連邦が、イワン４世を主人公にスターリン賞賛とは、そもそもかなり無理な企画のような気が…。

3819695さんも言っているが顔の撮り方が見事。特にカメラのアングルと被写体のアゴの角度。

第２部の乱舞は圧倒的な<赤>の唐突振りが素晴らしい。印象派が狂って描いた祭りの絵みたいだ。これ、本来はもっとしかかるべく配置されていたのじゃないかと思いたくなりすらなる。コサックコサック！