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[コメント] フェノミナン(1996/米)

これがッ!ブレイン・ライト・アームド・フェノミナンだ!(元ネタ分からない人はすんません。レビューとは無関係です)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジョージの頭に巣くう腫瘍が増殖する事により、ジョージは常人をはるかに超える知性を獲得する事が出来るのだ!この際、光を見る事ができるが、この技はジョージの生命力を着実に奪っていく!(一体どの位の人が知ってるんだろう?この漫画)

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 これは映画の本質とは全く違うのだが、かつて私が大ファンだった漫画家(コメントで掲げた漫画家とは違います。念のため)が「長いスランプ状態だったが、この映画を観て復帰できた」と漫画の後書きで書いていた事があったので、興味を持って観る事にした(未だにファンには違いないけど、もう彼の新作を読む事は出来ない。一昨年亡くなってしまった)。最初からそう言う先入観を持つ事は甚だ危険ではあるのだが…

 前半部分を観た感想は、「な〜んだ。『アルジャーノンに花束を』か」程度の感想しか持てなかった。何らかの要因で一気に知能が上がった主人公が後半段々元に戻っていくパターンだろう。大体再び人気が出始めたからってトラヴォルタをわざわざ使うなんてあざとい話だ。こう言う作品に女性とのハートフルな恋愛を持っていくのも常套手段だし、まあ、パターンかな?と思って眺めていた。

 それが、後半になって、ジョージの天才となった原因が究明された辺りからちょっと変わってきた。

 それは確実に来る死を前に、自分がどう生きるべきか。と言う方向性に変わったからかと思う。医術の進歩のためと解剖を迫る医師の言葉は結構説得力があったが、それよりやはり自分の生を大切にしたいという思い。いや、むしろ彼の願いは自分ではなく、レイスとそのこども達と共にいたいと言う思いなのだろう。いかにして人の役に立つか。それは知識を人に分け与える事ではない。一緒に過ごし、その時間を大切にする事なんだ。と言う事がダイレクトに伝わってきた時にぐっと来た(ジョージの最初の願いは確かに自分の有り余る知性を人に与えたいというものだったから、あの医者の言う通りにしても良かったはずだ。だけど、それより大切なものがある事を全身で主張していた)。その後のストーリーは、客観的に見れば良くあるパターンではあるんだけど、そこで引き込まれてしまったため、ジョージの言葉の一つ一つが重く感じられた。

 そしてこの作品の一番良かったところはラスト。あれだけジョージの事を気味悪がった町の仲間達が彼の事を想って集まってくる。画面ではちょい役でしかなかったはずの彼ら全員が一年前より幸せそうに見える。実は彼らはジョージの言葉をちゃんと受け止めていたから、一年後の自分があったのだ。彼ら一人ひとりがジョージによって、少なくとも生きる上で大切なものを受け取っていた。ちょっとした言葉のやり取りがラスト・シーンにしっかり絡んでいるたため、あんな短いラスト・シーンの説得力は凄いものだった。単に虚しく終わることなく、最大限のハッピー・エンドを迎えさせたと言う事を評価したい。それだけしっかりと登場するキャラクターを踏まえてストーリー構成を行っていた訳だし、本当に丁寧に作られた作品である事がよく分かる。

 私が見る限り、トラヴォルタの映画は「良かった」か「最低」の二つしかないけど、これは間違いなく「良かった」方であり、多分彼の作品の中では一番好きになれそうだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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