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[コメント] ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃(1969/日)

天本英世がこんなに人好きのするキャラクターを演じたのは、彼の長いフィルムライブラリーでも唯一でしょう。最初その姿を見た時は失礼ながら吹き出しました(笑)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前作『怪獣総進撃』(1968)で支持を受け、その再来を狙って再び本多猪四郎監督を迎えて製作された本作。しかし、内容は「あれ?」というもので、興行成績は低迷したらしい。

 ほんでもこの作品、あんまり悪く言う気もないんだよなあ。

 確かに前作のようなドラマ性はここにはないし、たかだかガキの夢じゃねえか。ってのもある。ついでに言うなら、オープニングの脱力しまくりの歌もそうだけど…だけど、この根底に流れる優しい目が良いじゃないか。作品自体はむしろ2作前の『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』の流れを継承し(正直、この作品って福田純監督とばかり思ってたよ)、人間と怪獣との交流って点に重点が置かれ(ここでもミニラが重宝されている)、それによって子供の成長を描こうって言うのが結構設定的には惹かれる。

 成長とは一体なんだろうか?

 それはとにかく一歩踏み出すこと。今に踏みとどまっていては、それがたとえどれだけ心地よくとも、成長はできないぞ。そんなメッセージも感じ取れる。

 考えてみれば、この辺りからなんだよな。親が子供に期待しすぎるようになったのは…勉強し、大学に行って良い会社にはいる。それが唯一の価値観となりかけていた、そんな時代。こども達はその大切な“一歩”を踏み出さなくても良くなってきた。

 ラストシーン、少年は決して大人に都合の良い子供にならなかった。むしろ、今まで出来なかった悪ガキの遊びに手を染めてる。これを肯定してるってことは…

 とにかく一歩踏み出せ。これは本多監督が全てのこどもと、その親に対するメッセージだったのかも。

(評価:★3)

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