[コメント] メカゴジラの逆襲(1975/日)
能天気な「ゴジラ対メカゴジラ」に較べれば、ドラマ的には随分充実しているといえる。しかし、怪獣の魅力は目一杯引き出されているとは言いがたい。
主人公たちの他には人間が存在していないように見える演出の「ゴジラ対…」に比して、怪獣と防衛隊の攻防などスケール感を増すのに成功しているのは確かだ。これは本多監督の手腕に因るところ大であろう。
しかし問題は怪獣にある。情けない必殺技しか持たないチタノザウルスは、「元々おとなしい怪獣」の設定を覆すことができなかった。メカゴジラはタイトル上の主役の座を奪い取ったにしては、あくまでチタノの後ろにでんと構えているような趣きである。そしてゴジラは、お約束のような子供のゴジラコールに応えて現われるものの、ストーリーの中では浮きまくっており、結局終幕に向けてのデウス・エクス・マキナの役割を担っていたに過ぎなかったのだ。
正直、タイトルから「ゴジラ」の名が消えたように、この作品は地球人対宇宙人のストーリーとして描かれるべきだったのかもしれない(真船親子のドラマは生かした上でだが)。「正義のゴジラ」という得体の知れない怪物は、それほどにシリアスなドラマに組み込みづらい存在だったということであろうか。
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