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[コメント] 戦火の勇気(1996/米)

戦争映画=各論ではなく戦争論映画=総論。だが、軍内部に悪が顕在することを認めることで残った善の部分を肯定しようというステレオタイプな中身は、論を気取る語り口からすれば、ミニマムな自己完結であるとしか言いようがない。
kiona

一つの戦争を丸ごと映画に封じ込める事は不可能に近い。だからこそ、戦争映画の評価は公開時期、各々の切り口等で相対的な評価が必要と思う。

当映画は軍内部における現場と机上の狭間の軋轢を問いながら、しかし、軍内部の価値観や美意識から一歩も抜け出そうとはしていない。

様々な戦争映画が、現場の激痛と苦悩、そして優れた兵士達の誇りを語り、肯定しようとする。確かに、肯定されて然るべきものもあろうかと思うが、しかし、それらはあくまでそこの視点だ。

このように現象と冷徹な距離を取ったマクロな語り口の映画なら、その役割は、『プラトーン』調“道徳の兵士VS不道徳の兵士”の対立構図を描くことではなく、現場の美意識も傲慢な国策の一端を担わされているという考えたくないジレンマに切り込むことであったと思う。

(評価:★3)

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