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[コメント] 戦国自衛隊(1979/日)

昭和自衛隊。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







彼らの姿が、戦国侍と対比してシステム化された組織「軍隊」として描かれるのではなく、あくまでその時代の権力である戦国武将に抗って、無残に散っていく青春群像として描かれているのが興味深い。「あれ?1979年ってこんな時代だったっけ」と思わずにいられないくらい、彼らから漂う70年代の残り香。クールに見えて、その実バーチャル漬けでただ感覚が鈍くなっているだけの軍事オタクみたいなヤツはいない。今その時を謳歌し、そして犬死にしていく美学。私の若かりし頃、正確には私たちの兄貴たちの年頃が体感していた「青春と挫折」の感覚。今の人から見れば感傷的で甘いと感じられるだろうが、「青春物」のドラマ等を見て育った私は、川中島の戦いを見ているうちに、ツッコミを入れようなどというやましい心は消え、いつしか泣けてくるのでした。隊員役の江藤潤、三浦洋一、ムッシュかまやつ、角野卓造、鈴木ヒロミツ・・・。ああ、昭和は遠くなりにけり。かれらは平成にタイムスリップしてきても浮いてしまっただろう。

メイキングで。

アクション監督も兼ねた千葉真一がインタビューアに「馬を怪我させずに転倒させるのはとても難しいんだよ」と言うのを聞いて、馬を可愛がるのもわかるが、そんな手ぬるいことを言っていては『駅馬車』にも及ばんぞと思いながら、いざ本編で爆風に1回転しながら吹っ飛ばされる馬を見てびっくり!さすが映画バカ千葉ちゃん!

確か鉄砲侍役に扮していた原作者の半村良氏が、低空から攻撃する自衛隊のヘリを真下から射撃するシーンの撮影で、小説を書いていた時は思いもしなかったが、プロペラの起こす風のため火縄銃の火薬に点けた火がどうしても消えてしまうというハプニングに出くわし、「そうか〈事実〉では火縄銃は撃てなかったんだ!」と感嘆したとか。こういうコメント好きだなあ。

(評価:★4)

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