山で遭難した時の鉄則は「動かない」こと。人間、不安に駆られると何かしら行動したくなる。しかし自分の置かれた状況を把握しないまま、むやみに動き回るのは、ただいたずらに体力を消耗し精神を疲弊させるだけ。得るものは乏しい。それはＣＵＢＥの中でも同じこと。出口への鍵を見出すまでに警察官クエンティンは心を失い、生き残れるはずの命もかき消されてしまう。動き回った代償は大き過ぎた。

普段の生活でも鉄則は同じだ。例えば株取引。大暴落に右往左往し、ただ闇雲に売買を重ねれば損をするばかり。迷った時の敵。それは人間の心に他ならない。やや人物描写がステレオタイプな嫌いはあるものの、生き抜く術を示唆する秀作。星4つ。