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[コメント] 踊る大捜査線 THE MOVIE(1998/日)

鯉は龍になって欲しかった。変身出来ない鯉の身の上話を聞かされても、個人的には困る。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 いやはや驚いた。青島のあの台詞「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!!」が、結果として何の意味も無していなかったとは!

 この結末だと、青島が↑の台詞を叫んだりして努力したかいも無く、本庁との確執は全然解決していない。確かにギバちゃんと筧利夫は現場の気持ちを分かってくれたが、あの会議室にいた人達はどうなのだろうか? 事件が終わったら終わったで、どんなに利夫が呼びかけても奴等は何にも聞こうとしないでとっとと帰ってしまった。“会議室”が聞こうとしないなら“現場”から行くぐらいの意気込みがあったっていいはずなのだが、この映画ときたら、傷ついた青島に現場の人間が敬礼するだけで終わっている。

 つまり、上に対するどうしようもない憤りと怒りを、青島を英雄扱いすることで打ち消しているのである。「本当に偉いのは青島みたいな人間だ」ということで、上に対して何も出来ない自分達を慰めているのだ。

 改めて聞く。本当にそれでいいのかと。これがもし「西部警察」だったら、石原裕次郎どころか西部署の刑事全員が退職覚悟で会議室に殴りこみに行っていることだろう。そこまでしなくても、最後は本庁の人達全員がさすがに心を揺り動かされるというような、それくらい熱いラストを自分は期待していたのだが……。

 「リアルじゃない」? それが映画というものだ。本作は、そういう意味ではまだ甘い。鯉が龍になってもよかったはずだが、鯉のままでは感動も出来ない。もっとありえない、もっと非現実的なことで熱くさせ、感動させてみせろ!

(評価:★2)

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