[コメント] アルマゲドン(1998/米)
作劇は黒澤の『七人の侍』形式、父と娘(とその恋人)の関係性は(無理矢理こじつけるなら)後期小津作品とも通底し、骨格としては劇映画のツボを押さえている。
そこに、アメリカ映画らしい石油掘りという職業のロマン性が加わり、皆を救うために誰かが犠牲となるという西部劇にも通ずるナラティブが花を添えるのである。あと、内なる敵に背中から刺されそうになるというのも『ダイ・ハード』と同様のお約束。
まあ、ここまで娯楽作品のテキストに沿ってくれると安心して楽しむことができるのだが、一方で盛り込まれる要素が多過ぎて一つ一つが薄まってしまうのは致し方なし。
途中、ブルース・ウィリスのバックが巨大な星条旗の画像です埋め尽くされるカットだったり、ラスト、滑走路を横並びで歩くカットだったり、なかなか決まっている構図も多い。
2台のシャトルの名称が”Freedom“と”Independence”というのはベタすぎで微笑ましい。
ロシアの宇宙ステーションがボロボロなこと、そこにいた変わり者の飛行士(ピーター・ストーメア)がいい味出すあたりからは、ロシア民主化の時代の香りが窺える。
ウィリアム・フィクナーの如何にもドイツ系な面構えは貴重。
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