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[コメント] ニンゲン合格(1998/日)

「失った10年間」、だが彼は別に何かを失った訳じゃなかった。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何かを失ったのは周りにいたニンゲンたち。彼等は10年という月日で様々なモノを得、多くのモノを失った。そうやって10年もの歳月を生き抜いてきた。

彼も10年の眠りから醒めてからの短い期間に多くのモノを失った。8倍速のビデオで早送りするような時間で家族が崩壊する様を見せられた。通常のニンゲンが10年かけて経験する失望を知った彼は、もう充分「生きた」のだと思う。

「生きる」という何とも楽しくて残酷な重さ。それがアノ冷蔵庫の重さと同義とは言わないが、彼は「生きる」という重さを全身にうけ死んだのだ。もう充分に「失った」から・・・

ひとつづつ何かを失いながら成長していくニンゲンという生き物。そういった意味で彼は充分にニンゲンとして合格点を得たのだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)太陽と戦慄[*]

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