[コメント] 女盗賊プーラン(1994/英=インド)
映画を見終った人むけのレビューです。
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実話だから文句を言っても仕方がないのだが。
幼少時代の性暴力シーンからイヤな予感はしたのだが・・・。
この映画が描いているものは、「プーラン・デヴィの半生」ではなく、極端に言えば「人生ずっとレイプされ続けた女性の半生」と言っても過言ではない。映画の大半、彼女は何処へ行ってもレイプされ続ける。女性として、それを鑑賞し続けるのは非常に苦痛だった。
この作品のテーマは「性暴力」よりもむしろ、「不当な差別」が根本の問題なのではないだろうか。しかし、性描写ばかりが強調され過ぎているため、肝心の「差別」に対するSOSメッセージが薄い。
さて、彼女は大量殺人の後投獄され、仮出所後はNGOを設立したり、国会議員として活躍するようになる。が、この辺りのエピソードはまるで語られていない。中途半端なまま、映画は終わってしまった。
例えば投獄中、彼女の中に何が芽生え、そういった前向きな行動をとるようになったのか、そしてNGOでどんな活躍をしたのか。私達の知りたいのはそこである。 本当にプーラン・デヴィという人物の伝記映画を撮りたいならば、ここから先を描かないのは彼女に対して失礼なのではないだろうか。
また、インド人男性はこの映画を観てどう感じたのだろうか。
これは実話で、確かに彼女はこれだけの性的・精神的暴力を受けてきたのだ。しかし、この映画を見る限り、「インド人男性なんてケダモノだ」という感が生まれてしまう。インド人男性でも、全ての男性がケダモノである筈がない。優しい人もいるだろう。世界中にこの映画を発信して、インド人男性は誤解を招かれているのではないだろうか。
とは言うものの、自国の膿んだ歴史を堂々と描き出したことに関しては、賞賛に値する。インド、また他国の女性に対する不当な差別が無くなる事を祈る。
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