[コメント] パルプ・フィクション(1994/米)
155分と比較的長い作品だが、観客を飽きさせない映画だった。
時系列を切り裂いて展開していく斬新な物語、登場人物の性格にピッタリのキャスティング、1つとしていい加減に撮ったショットが無く、凝った編集が施された映像、映像と見事にマッチした音楽・・・、どれを取っても、とことんまでやり切ったという感じがする。だから、見ていて飽きないし、面白い!
現代のアメリカにおいて、大学の映画科を経ず、ビデオレンタル屋の店員をしながら、独学で映画製作を学ぶというのは、ある意味、邪道である。しかし、そのように独力で学び、インディーズを経て、一流の映画監督となったクエンティン・タランティーノの作品には、ハリウッドの常道映画監督が提供できない味わいや雰囲気があるのは事実だ。
それは例えるなら、一流の建築家が設計した高層ビルと、桂離宮の様なたたき上げの職人が造った木造建築との違いとも言えるのかもしれない(決して、高層ビルが悪いと言っているわけではない。目指している世界が違うということ。)。
タランティーノは、言うまでも無く、叩き上げの映画職人である。この人は、自分の技術に確固たる自信をもち、安易に妥協したり、金銭のために節を曲げたりせず、納得できる仕事しかやらない典型的な職人気質である。そういえば、オリバー・ストーンやら、スパイク・リーやら、喧嘩が絶えないのも、職人たる所以かもしれない。
本作は、そんな映画職人の妥協を許さない性格が滲み出た作品だった。この人だったら、小学校の運動会でも、上質の映画に仕上げてしまうかもしれない・・・?(っていうか、職人だったら、そんなもんは撮らんよなぁ。)
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