[コメント] 人情紙風船(1937/日)
チトサビシイ…どころではない。哀愁、寂寥、というよりも絶望という形容こそが相応しい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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浪人の妻、山岸しづ江が充満させる凄まじいまでに陰鬱なオーラ。長十郎がどれだけ明るく振る舞ったところで振り払えるはずもない。そしてひとり土砂降りに打たれ絶望する姿の壮絶さ。
一方で、翫右衛門の不敵な面構え、刹那な生き様が紡ぎだすダンディズム。やくざ者に囲まれ、その結末は明確には描かれない。
プロットだけなら起伏も無く、強烈な印象にも欠ける。が、なんとも言葉にしようもない情感と余韻が残る。やはり山中貞雄には生きてもっともっと映画を創ってほしかった。
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